これはトラック運転手から聞いた話なのだが、とても恐ろしい体験をしたという。
このトラック運転手は43歳のベテラン運転手で、主に深夜から早朝にかけて近郊に資材を運ぶ仕事をしていた。
そんなある日に新しい取引先の海沿いまで運ぶことになり深夜に荷物を積み出発した。
長年色々な場所に運んでいるため目的地のルートまではすぐにわかる様だ。
いつものように深夜車の少ない道路を快適に運転をしていた。
深夜2時頃あと1時間ほどで目的地まで着くというところで、ある橋に差し掛かった。
深夜2時だけあって車も少なく人も全く居ない。
橋の中央部分に差し掛かった時だった。
誰も居なかったはずの橋の歩道にちらりと白いワンピースを着た髪の長い女の人がちらりと見えた。
「ん?」
誰も居なかったはずなのにいきなりふわっと現れた感じだった。
そして、凍り付くような寒気が背筋に走った。
と、その瞬間に視界の端の方、助手席にさっき見た白いワンピースの女性がちらりと見えた。
「うわ~・・・・・。」
ドライバーの男性はその時に察した。
隣に幽霊が乗ってきたと。
緊張し、体が強張る。
怖くて助手席の方を見ることが出来ない。
冷汗が額を伝う。
早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。早くどっか行け。
と何度も何度も心の中で強く思う。
橋を渡り切るまで3分程度だが、時間は30分以上に感じたという。
橋を渡りきり、視界の端の方に居たはずの女性が消えていた。
ちらりと助手席を見てみるとそこには誰も居なかった。
橋から少し離れた場所に車を止め呼吸を整える。
はぁ~なんだったんだろう・・・。
車の室内灯を着けて、缶コーヒーを飲む。
そして、助手席をもう一度見てみるとシートの上に女性の物と思われる髪の毛が落ちていたのだという。
それを見て、ぞーッとして、髪の毛を車外に慌てて捨てた。
その後は何事も無く、荷物を届けることが出来た。
そして、この体験を仲間のトラック仲間に話したところ、あそこの橋は自殺の名所となっていて、女性の霊が出るというのは有名だったという。
そして、みんな深夜はあの橋は通らないようにしているという。