これは聞いた話なのですが。
彼氏とデートして公園へやって来た時の事。
この公園は大きくいろいろと遊ぶことの出来る場所で、ブラブラと歩いていた。
この日は天気も良く、暖かく散歩やデートするには良い日よりだ。
「なんか気持ち良いよね~」
バイト先の話しや、趣味の話しなど話は盛り上がっていた。
そんな楽しいデートの中、ふと彼女がトイレに行くと言い、彼氏をトイレの前に残し、公衆トイレへと入って行った。
公衆トイレは綺麗とは言えないが、公園のトイレだから仕方ない。
どこかの若者が、落書きをしたのだろう、マークみたいなものも描かれている。
しかし、山の方や、地方の余り人の少ない公園の公衆トイレに比べればましな方だった。
トイレに入り、用を足していると、扉がガタガタを鳴り出した。
誰かが、入ろうとしているのか「入っていますよ」と言おうとしたときにふと思った。
人が入ろうとするには「ガチャ!」って強く開けようとするのだがそうでは無い。
ガタガタ・・・ガタガタ・・・
と、扉がわずかに揺れるが、どういうことなのだろうか。
ガタガタ・・・ガタガタ・・・
扉は振動するように揺れている。
風のせいかと思ったが、今日は天気も良く、風も余り無く穏やかな日。
公衆トイレの奥まで届くような風は、台風とか爆弾低気圧以外に考えられない・・・。
理解できない現象で、恐怖感がこみあげてきて、ゾワゾワと全身の毛穴が逆立つように鳥肌が立った。
とその瞬、間耳元で。
「死にたくない・・・・」
と微かな女性の声が聞こえた。
キャー!!!
心の底からの恐怖感。
ヤバイ!!ヤバイ!!
急いでトイレから出ようとするが、閉めたドアが開かない。
鍵を閉める横にスライドする金具が全く動かないのだ。
焦りと恐怖で、力を入れて必死に開けようとする。
ガチャガチャ・・・
それでも開かない。
「もういや!!」
渾身の力を込めて金具をスライドさせることが出来、やっとの思いで開くことが出来た。
急いで彼氏の元に駆け寄る。
「どうした?」
顔面蒼白で駆け寄ってくる彼女の様子を見て、彼氏が抱きしめる。
「どうした?一体なにが有ったの?」
彼女はブルブルと震え、必死に彼氏の腕にしがみつく。
彼氏に支えながら、近くのベンチに座り、ギュッと抱きしめ徐々に落ち着きを取り戻していった。
そこで、トイレの中で起きた一部始終を彼氏に話した。
彼氏も話を聞き、背筋が凍るような恐怖感を覚え、この公園を後にした。
その後、もうその公園にはいかなくなったが、この話を他の人にして解ったの事なのだが、昔このトイレで女性が首吊り自殺したとう事が解った。
自殺をした女性は仕事が上手く行かず、さらに彼氏と別れたばかりで自殺という道を歩んだという。
それ以降、彼女は決して公園の公衆トイレを使わないようになったという。