虫の知らせ 怪談・怖い話

これは自分が実体験した話なのだが、12月の中旬。
ある居酒屋でアルバイトをしていた。
繁忙期とあって宴会やら、とめどなくお客さんが訪れ一息つく余裕もない忙しさだった。

その日は、特に体調が悪いというわけでもなく、風邪気味でもなかった。

夜9時頃だっただろうか。

やっとお客さんの入りも落ち着いてきたころ、物凄い立ち眩みがした。

その立ち眩みは、大きく揺れる床に立っているような、ぐわんぐわんとゆすぶられてるようだった。

ヤバい、立っていられない・・・・。
そう思ったが、数秒で立ち眩みは無くなった。

危うく倒れこみそうだった。

おかしいな。風邪でも引いたのか?
少し嫌な予感がした。

その後、酷い立ち眩みだ度は無く、無事にお店は閉店した。

「あ~今日も疲れたな~。」
また明日も忙しいんだろうな、と思いつつ、今日の立ち眩みは何だったんだろうと思う。

そして、嫌な予感。

家路に着き、シャワーを浴びる。

さっぱりして時計を見ると0:00を回っていた。

ふと、何気なく携帯電話を見ていると。

チャララ~チャララ~と着信音が。

着信は母からだ。

おかしい、こんな時間に母から電話が掛かってくるはずがない。
自分の母は田舎の方に暮らしているせいか、21時には寝る習慣がついている。

おかしい。嫌な予感がよぎる。

「もしもし・・・・」

「おばあさんが亡くなったって・・・」

「え!?いつ?」

「さっき」

話しによると、午後になり体調が悪くなり病院に入院したのだが、そのまま体調は回復せずその日の0:00前に亡くなったという。

夜に、物凄い立ち眩みをしたのは、虫の知らせだったのだろうか。

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